一つ目の映画のワンシーンについて。
(具体的な映画のタイトルは過去の名作なので内容を読めばなんとなくわかる気もするし、
あたかも解説であるかのように誤解をうむのが嫌なので書きません)
酒井「これがさ、俺は勝手にワクワクしたんだけど。なんでワクワクすんのかちょっと考えたわけ。何回か見たんだけど。俺がワクワクする瞬間、まあいろんなところであるとは思うんだけど。もちろんさ、これ色んな位置関係で同時進行でアクションが起こってるのは面白いんだよ。だけどそこじゃなくて、俺が一番面白いなって、というか、「あ、こういうことが表現できるんだ」と思ったのはさ。
1階のロビーと階段の踊り場で撃ち合いになった時に、一度主人公が弾から逃げて踊り場に隠れるよね?」
畠山「うんうん」
酒井「その後の沈黙の『間』なんだよね。あのロビーにいる人たちが「え?」ってなって」
畠山「本格的に撃ち合う前?」
酒井「そうそう。硝煙がふわーっとなってる階段の踊り場を、銃を持った男が見てて。その間があった後に主人公がパッと出てきて銃を撃って、撃たれたやつがダダダダダって乱射するじゃん?」
畠山「はいはい」
酒井「俺あの瞬間が一番すごいなって思ってて。ここワクワクなんだけど。この『間』が面白いんだよね、この緩急の緩というか……前に見た時は急にしか興味なかったんだけど」
畠山「そうだよね(笑)」
酒井「俺むしろそれが引き立つのって、この一瞬の『間』が、この静寂の間が、表現できてるからだよなって思うの。あの瞬間が一番面白いっていうのかな。「何が起きる?何が起きる?」と思って見るっていうか」
畠山「うんうんうん」
酒井「で、これなんで『間』が表現できてるのかって、多分さ、まずカットが割れてるからってことだよね、第一にね。あと音がさ、その前もずっと銃撃の爆音で、で沈黙を破ったともあえてさ、撃たれた方がダダダダって乱射しててさ、爆音を響かせるじゃん?」
酒井「で、これトーキーだからできるんだよなって思うんだけど。この沈黙が表現できるんだよなってことが面白いなって。むしろ沈黙こそが一番面白いんだと。沈黙といってもベース音、ベース音こそ沈黙なんだけどさ。沈黙を表現するために、前後に音をつけてる。あえてこれくらいウルサメじゃないとなって俺は思ったの。だから、この『間』、感覚としての『間』って、音と画でしか表現できない、他の媒体では絶対表現できないもの。そのワクワクとしか言えない瞬間がここにあるんだよなと思って。これが映画のコアだというか、コアの一つに違いないって。ストーリーを超えてるし。で、まあこういう…」
畠山「うんうん」
酒井「これ、今俺が一方的に勝手に思ったこと話してんだけど、こういう事を相互にやっていけないかなって思ったの。ま、勝手に俺もみんな映画の感性ダブダブだと思ってんだけど…」
畠山・百々「(笑う)」
酒井「すっかり映画の感性ダブダブになってしまった自分たちに、何がコアなのか、何が本質なのかってことを考えてきたいの」
百々「なるほどね、良いんじゃないですか」
酒井「まあ、第一回だから実験で、勝手に俺が一方的に今はやってるんだけど」
百々「はいはい」
酒井「もう一つ別の映画、これね……」
と次の映画の一部分について見たあと3人で話し合う。
株式会社DrunkenBird
百々保之
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