『RIP』について。⑤音楽

【5.音楽】

編集は撮影後2日ほどでほぼ現状と同じものになりました。

僕は撮る前から、モノローグのシーンについて「ただモノローグを集中して聞かせたいので、画的なギミックはなし」と言っていましたが、

そのことで、なんだか作家性溢れる「『わかる客』が寄ってくるの待ち」の作品に見えたら嫌だなあと思ってもいました。

(そもそも、僕は7割の映画で寝てしまう、残念ながら『わからない客』です・・・)

モノローグが微妙にリズミカルなのを活かす+ポップにしたい=音楽でなんとか!

と、ごく単純に考えました。

当初は誰かに音楽をやってもらうつもりで、なんとなく仮にimai(group_inouのトラックを作っていた方のソロ)さんの曲を入れてみると、

なんかいい感じでした。(group_inouの曲名がタイトルの元、というのは前の章に書きました)

感傷的でもなく、かつ冷たいわけでもなく、なんとなく物語の助長とは別の音楽で、画とストーリーと音楽がそれぞれ違うことで、

一つのなんとも言えないトーンが生まれている気がしたからです。

アコースティックや生演奏、息遣いが伝わる楽器はセンチメンタルに聞こえる。

透明感あるエレクトロニカもやっぱりセンチ。

となると、このgroup_inou的ピコピコが一番ポップで、しかもニュートラル。とてもしっくりくると思ったのです。

「そうだ、ピコピコ四つ打ち、打ち込みでいこう」

と思いました。(誤解なきよう、もちろんgroup_inouのようには遠く及ばず、意気込みだけでできませんでしたので、違ったものになっています)

僕は音楽のことは特に詳しいわけでもないし、あまり知りません。

それを伝えてやってくれる人も知りません。というか、散々書いてきたように、お願いする金がありません。

macに入っているGarageBandというソフトを開いてみて、適当に打ち込んでみると「まあ、いけなくもないのかな」

と思えました。

それでも僕は不安で、これまた映画美学校の同期で友人の、宮崎圭祐君に連絡を取りました。

宮崎君とは映画・音楽両面でよく趣味が合い、そもそもgroup_inouも知っているし、言っていることは即理解してくれました。

とはいえ宮崎君もGarageBand未経験、そしてお互いあまり説明書とかを読むタイプでもない。

僕は適当に作ったものをその夜宮崎君に送りました。

宮崎君「まあまあ良いんじゃない。最初の方とか」

と決まったのが最初のタイトルロールとラストで使っている曲です。

問題はエレベーターに乗るシーン〜モノローグでした。

当初、僕「エレベーターに乗るところからノリノリのダンスホールっぽくいったら良いかなって」

(もちろん、ダンスホールに行ったことはありません)

宮崎君「いや、流石にそれは意味わからなすぎると思うよ」

僕「でも、ダンスホールっぽさ、欲しくない?」

(ダンスホールに行ったことはありませんが)

結局、僕は正解がわからないため、宮崎君が送ってくれた曲をエレベーターシーンで使うことにしました。


いじっているうちに、GarageBandでは映像を入れながら作れることを知った僕は、

モノローグシーンを、画に合わせて打ち込んでいくことを思いつきました。


そうしてできたのがモノローグの流れ。

そのあとは、携帯の着信音にかけて、iphoneの音(前にauのCMで、金太郎たちが踊っていたヤツ)に似せて、

かつ裏のリズムをなくして、全部オモテの平面的(直線的?どっちが正しいかわからないけど)なリズムに変えたものを、服を捨てまくるカットに当てました。

それが、いつの間にか着信音となっていて、携帯に出ると同時に高音が消える、ということをやったら面白いかな、と思ったのですが、

そんな馬鹿みたいなことには誰も気づいてくれず、寂しいのでここに書いておきます。


旅行パンフを見てからの音楽は、僕が映像を見ないで試しに打ち込んだ2曲目で、80年代っぽさが気に入っていたので使っています。

当時打ち込み用キーボードもなかったので、高音のオルゴール的な音は、マウスを押しっぱなしにしてディスプレイ上のキーボードを滑らせることで作っています。

わかりやすくセンチメンタルな曲でないので、比較的うまく不思議なトーンを出せたのかな、出せてたら良いなと思ってます。

個人的にはパンフから、車の前の工藤にまたぐシーンは音楽ありで気に入っています。



そうして、カラコレして、適当なネオンロゴを30分ほどでざっくり作り、今の形ができました。

『RIP』について、やっと終わった・・・。

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百々保之